努力の人ロッシ

サーキット

「ロッシは天才ではなく努力の人」

これはロッシ本人ではなく、MotoGPで2007年から2011年にブリジストンでタイヤ開発を担当していた浜島裕英さんの発言です。
MotoGPで使われるタイヤは、使われ方が場面によって異なります。
バイクは傾ける角度によって接地するトレッド面が変わるためです。
直線ではセンターを使うため、転がり抵抗を下げてスピードを伸ばします。
しかし、コーナリングではバイクを傾けるため、タイヤも傾くためタイヤの横(ショルダー)を使うことになります。
そして、コーナリングでは横G(※1)がかかるので、グリップを高める必要があるため、センター部分とショルダー部分でコンパウンド(ゴム)を変えているのが特徴です。
※1 Gとは地球の重力加速度で、横Gとは横方向へ押される力のこと

1本のタイヤに右のショルダーに3種類、センターに1種類、左のショルダーに3種類、合計7種類のコンパウンドを組み込むこともあったそうです。
つまり、コーナーによって最適なコンパウンドが使えることがタイム向上につながります。
ロッシはGPライダーの中でも使い分けが上手でした。さらに同じところを使っているとそこだけ劣化してしまいますが、ロッシは1/10単位で調整し劣化を防いでいたのです。

観察眼に優れたロッシ

ロッシは表現力がすごいライダーだったそうです。ミーティングではコーナー、入口、エイペックス、出口、マシンを倒した角度も付け加えて解説していました。
自分が納得するまで話し、タイヤについても細かく要求してくるということで、当時のスタッフはとても大変だったとのこと。
また、他ライダーの乗り方も研究しており、後ろについてライン取りやシフトチェンジのタイミング、アクセルの開け方などを見て盗み、自分のものにしていくそうです。
125ccクラス時はライバルであった日本人ライダーにアドバイスを貰っていたというぐらいですから、勝利に対して貪欲であることがわかります。